シャッター音を傍らに ー川上信也撮影日記ー

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zoom RSS このごろ美術館が好きだ

<<   作成日時 : 2017/06/22 13:26   >>

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数年前から美術館によく足を運んでいる。
気になる絵を見るためだ(彫刻はよく分からないし)。
数年前、ビーチボーイズのライブを見に大阪に行った際、兵庫県立美術館で「ピサロ展」が開催されているのをたまたま知り行ってみたことがある。それらの絵をじっくりと見てからいろいろと絵に対する、というか自分の写真に対する見方も変わってくるように思えたのだった。
どのように変わったか、と言われてもなかなか説明できないけれど、様々な風景を目の前にした時に、何だかこの空はあの絵の色に似てるなあとか、遠くに見える木はあそこで見た絵のように佇んでいる、とか、とても小さな出来事のような気もするけれど、その絵の記憶というか余韻がとても大切なことのように感じている。むしろ写真よりもスッと心に入ってくる。これは僕が仕事として写真をやっていることと関係してるんだろうけれど、絵のほうが解放された穏やかな気持ちで見ることができてしまう。写真だとどうしても自分もこう撮りたいとか、いろいろ追い立てられるような気持ちが大きなうねりのように押し寄せることがあるので。

久留米市美術館はとてもいい展示を立て続けに開催していた。
前回の「川端康成 美と文学の森」、そして今回の「夢の美術館 めぐりあう名画たち」。7月16日まで。
前回の川端康成コレクションの展示は、去年宮崎市美術館でも見たことがある。東山魁夷の絵がとても印象的で、久留米でもぜひ見てみたいと思っていたのだ。
でもその展示で一番印象に残ったのは、坂本繁二郎の「放水路の空」という一枚。筑後川上空のなんてことのない雲の絵だったけれど、その淡い色合いや雲のディティール、シンプルな構図がとても気に入って何度もその絵を往復して見ていた。展示数が多いと僕は気に入った絵を見つけてそこを何度も行き来するようにしている。結構そうやって見ている人って多いらしい。そのほうが印象により強く残るだろうし。

そして今回の展示。
福岡市美術館と北九州市立美術館が偶然にも同時期に改修工事のため、収蔵品の数々をいつもとは違った場所と並びで見てみようというまたとない企画。
久留米市美術館、まだ石橋美術館といった方がなじみがあるけれど、緑、水が豊かでとても気持ちいいところだ。

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今回の展示では各部屋ごとに様々なジャンルの絵を展示していた。はっきりいって理解不能な絵も多いんだけど(勉強不足です)、その中でいつものように何度も行き来する部屋があった。
その部屋はドガ、ダリに続き、レオナール・フジタ、モネ、シャガール、アンディ・ウォーホル、草間彌生と続く。不思議な並びでしかも豪華すぎる。
どの作品も個性的で力強くとても見ごたえがあったけれど、中でもシャガールの「空飛ぶアトラージュ」という絵にずいぶんと弾きこまれた。妻を突然亡くし休筆状態だったシャガールが、戦争を終えた年に再出発の思いを込めて描かれたという絵。訪れるあろう平和な世界とこれまでの悲しみが混じりあっているかのような深い緑の色合い。鳥のソリに乗った子供の笑顔。
シャガールという画家を意識したことはこれまでなかったんだけど、これまでの絵もじっくり見てみたいと思った。湯布院に確かシャガール美術館ってあったような。
この一枚に出会えただけでも僕にとってはとても豊かなる時間。

美術館内には坂本繁二郎のアトリエが八女からここに移築されている。
前回の展示で川端康成が八女のアトリエを訪れるシーンがあったけれど、この建物ってことになるんだなあ。
木造の小さなアトリエであるけれど、窓のデザインや、中にある椅子、ゆらぎガラスに映る風景、いい風が生まれそうなアトリエだ。

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2か月ほど前のことであるが、湯布院のとある和食のお店を取材したときのこと。
その方は料理の世界では超カリスマと呼ばれる巨匠の方で、例の超豪華寝台列車の料理も監修されている。
取材の話の中で、同じ素材で同じ空間で同じ道具を使って同じように料理しても、人によって美味しかったりそうでもなかったいする、その違いは何かという話をされていた。
それはその方が今までどんな芸術に触れてきたか、そしてどんな教養を得たか、ということが非常に大きな差となって味に表れてくる、ということだった。そして奄美大島の田中一村の絵の話、映画「グランブルー」の話へと続いた。こういった経験こそが料理に生きてくるのだと。
これはきっと写真にもいえることだ。
僕がこれから美術館でどんな作品に出合っていくのか分からないけれど、きっとその経験や感動はじわじわと現れてくるものだろうと思っている。なんとなく実感し始めたようにも思うんだけど、まだまだこれから。

この久留米市美術館、九州で今のところ一番気に入っている美術館だ。いや長崎もいいかな。

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