今この人を撮りたい Vol.1

ブログにて連載を始めることにしました。もちろん仕事ではなく僕の趣味的なものです。僕の身近におられるいろんな意味ですごいなあと思う方を撮影させていただき、文章と共に紹介していきます。一回目は編集者、ライターの丸山砂和さんです。まあ一番気楽に取材撮影させていただけるすごいヘンテコ偉人さんなので。 2回目はまったく未定ですがなるべく近々。いずれ写真展もできればとも思っているので結構マジメに撮影していきます。


丸山砂和 (マルヤマサワ)
編集者 ライター
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僕の周囲にはヘンテコな方が多い。個性的というありふれた表現ではとても収まらないほどヘンテコで独創的で、それでいて周りの人たちから厚い人望を得てしまう不思議な人種。この方はその筆頭だろうと思う。
知り合った当時はとある雑誌の編集長をされていて、サワさん、とみんなから呼ばれていたので僕も自然とそう呼ぶようになった。小柄でおかっぱ頭で明るい声、なんだか三拍子揃ったような存在だなと最初は思ったけれど(ほんとに最初だけ)、次第にこの方の本性を知るにつれ、とてつもない人物だということが分かってくる。とにかく計算は苦手、これは人生計画においてもそうみたいだけれど、感性に任せながらその時の自分の進む道をいわば当てずっぽうで決めてしまう。これは年に数回出かけている海外旅行も同様のようで、ピンときたところにヒョイと出かけていって聞いたこともないようなところで数日間を過ごしてくる。現地の人から初めて日本人を見たとかも言われているらしい。写真のガラスの容器は先日行ってきたポルトガルの蚤の市で買ってきたらしいけれど、かさばるし重いし割れるかも、なんてことは一切考えずに買ってしまう。
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常識にはとらわれず、集団行動が苦手で、好き嫌いが激しく、流行はどうでもよく、かわいい行動など大っ嫌い。おまけに酒豪。一度真顔で「月と地球ってどっちが大きいのかな?」と聞いてきたことがある。ここまで書くととんでもない女性のように思われるかもしれないけれど、なぜ多くの方からサワさんサワさんと信頼を寄せているのか。
それはやはり他の人にはない感性の鋭さから表現される豊かな世界にあるのだろう。様々な経験とこのような性格が混じり合いながら生み出される人を包み込むような不思議な柔軟性を伴った世界。そこに周囲の人たちが自然と引き込まれてくる。
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そして何といってもそこから紡ぎだされる文章の卓越さ。僕は10年近くサワさんの仕事のパートナーとしていろんな撮影を担当してきたけれど、僕の写真に添えられた文章のあまりの美しさに何度心が震えたことか。本人は僕の写真があってのことなんて言ってくれるけれど(優しいところもある!)、流れるような音楽のようなリズムを伴った表現、ここぞというところで韻を踏むといったセンスはおそらく天性のものだろうと思う。かつて18ページにわたる沖縄特集を共につくった時など、ページページから伝わってくる物語、空気感、そこにはどんな雑誌にも負けないハイレベルなプロの世界が広がっていた。
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ただ、こういう方に限って自分の売り込みを大の苦手とする。実際サワさんの才能をよく知る人は福岡の一部の人に過ぎない。だいたいにおいてこういった感性的才能と商業的才能は反比例するものだ。そんなサワさんも50を過ぎた頃から、さすがにちょっとは知ってもらわないとね、と思い始めたらしい(遅い!)。ということで去年の夏に僕も含めた仲間3人で会社を立ち上げたのだが、みんな計算が苦手であり、これは人生においても同様だ。類は友を呼ぶものなのだ。果たしてどうなることかと心配にもなるのだが、
「どうせ仕事するなら楽しい仕事しなきゃね」という言葉からきっと風は吹き始める。
世界はマルヤマサワにようやく気付き始めている(のかな?)。
                                          
丸山砂和
編集者 ライター。
コピーライター、雑誌「クリム」の編集長を経て、現在は(株)ルスカ・ファクトリーのライター、編集者。
毎年のように世界各国を放浪しているが、SNSには興味がないため(今のところ)、その模様はほぼ謎に包まれている。
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写真 文  川上信也 
川上信也 Photographer ホームページ   

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