建築撮影に思うこと

月に1、2度、新築のお宅を撮影している。いわゆる竣工写真といわれるもの。
とある工務店の方から、新築物件が引き渡される直前に撮影の依頼がくる。僕は建築学科出身であるけれど、まったく授業にも周囲にもついてゆけず(しかも留年して)あきらめてしまった建築の世界なんだけど、写真の世界に入ってから建築の世界にほんの少しだけ関われるようになって、ほんの少しだけ、いやいや結構かなりうれしいのだ。撮影前に工務店へと出向き、担当者から設計図を眺めながら撮影してほしいポイントなどを示され、フムフム、と僕も建築家のような顔をして聞いているのだ。もっとも構造的なことはもうさっぱり分からないんだけど。
また僕はほとんど自然光で撮影している。もちろん室内の電気を点けることはあるけれど、住んでいる人(これから住む人)の目線で撮影してゆく。このスタイルがとても気に入ってもらえている。たぶん。
 
 撮影は入居のおよそ1週間前くらいだろうか。これからこの家でどんな生活、ドラマ、喜怒哀楽が生まれてゆくんだろうと思いながら撮影してゆく。いや、そんなこと考えてる余裕もないことも多いかな。僕が使っているフジフィルムのカメラはレンズが優秀でほとんど歪みがないので助かっているのだが、やはりどうしても広角レンズを使うと見る角度によって柱が四辺形の斜めになってくる。これはあとである程度は修正をすることになるけれど、できるだけ僕は最小限の修正に留まるよう心掛けている。その上で当然担当者のオーダーに適う写真を撮ることになるので撮影ポイントにとても気を使っている。時にはウロウロリビングをまわっている。そんなこんなでだいたい3時間くらいかけているだろうか。天気のこともあり、その日によって条件も違うので、毎回結構いろんな知恵を絞っている。
撮影が終わったころには結構心地のいい疲労感。納品とは関係のない気になった写真を3枚ほど撮影して終了。
今日最後に気になったのは階段から見上げた空間。竣工写真にはもちろんまったく必要のない一枚だけど、無事終了してほっとした時の目線ということ。これは作品にもなりそうだなと思えたりもする。建築の世界はダメだった僕だけど、こういう目線を生かせる今の仕事をとてもありがたく思っている。
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