雨の高森殿の杉

僕が講師を務めている写真クラブで、初の野外撮影会を開催した。
今までもやろうやろうとしていたんだけど、いろいろ都合がつかなくて今回は何としてもという感じで午前中、待ち合わせの久住ワイナリーへと向かった。
 雨が降り続いていた。こんな天気の日はどこを撮影したらいいだろうと車の中でずっと考えていた。雨の男池もいいし、清流の森ももしかするといいかもしれない。でも思い切って高森まで足をのばし、高森殿の杉を撮影してみてはどうだろうと思い、到着してピザを食べながらみんなの意見を聞いてみようと思った。
 参加者はみんなで10人。男女それぞれ5名ずつ。年齢も様々だけれど、とても柔らかい空気が流れているようで居心地がいい。10人でテーブルを囲み、6種類のピザをほおばりながら高森はどうだろうと聞いてみると、行こうということになった。ここから一時間弱かかるので、さらに長時間の運転申し訳ないなあと思いながら。 
でも雨の高森殿の杉は、晴れているより一層神秘的で存在感が増し、枝のそれぞれが意思を持った生き物のように思えてくる。これをぜひみんなにも見てもらいたいと思ったのだ。
 僕がこの大杉を初めて見たのは、6年くらい前だったと思う。雑誌の取材でこの付近のトレイルルートを撮影することになり、その途中にこの大杉があったのだ。当時はほとんど知られておらず、看板もなく、通らなければならない牧草地を入っていいものかどうかも分からず、ものすごくためらったものだった。役場に連絡して柵を乗り越えて入っていいということを確認し、牛たちがいる牧草の道を行ったのだった。そしてこんもりとした小さな森の中で初めて大杉を見た時の感動、驚きは今でも忘れられない。たぶん屋久島の縄文杉より感動は大きかったように思う。縄文杉は写真で何度も見ていたし、もうかなり観光地化されていた。この高森の大杉はほとんど知られていない小さな森にひっそりと隠れるように佇んでいたのだ。
 その後何度か足を運び、パワースポットブームもあって多くの人に知られるようになったけれど、この大杉は雨の日にこそ行くべきだということが分かってくる。晴れた日には分からないこの木の色合い、質感、重厚感、そして天に向かって伸びてゆく枝枝の神々しさ、どれをとっても雨の日にしか感じらないこの木の表情だ。
 そしてみんなで向かった高森の大杉。
やはりこの日も圧倒される。力強い。みんなそれぞれのアングルでその生命感を表現してゆく。
雨音に混じって鹿の鳴き声、シャッター音が周囲に響いている。いやこの大木にこだましているのだろうか。
FUJIFILM X-T1 10-24
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